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第40回日本神経科学大会
大会長  狩野 方伸

(東京大学大学院医学系研究科・神経生理学)

 

 

 このたび、第40回日本神経科学大会がNeuroscience 2017として、2017年(平成29年)7月20日(木)から23日(日)の午前中までの3日半にわたり、幕張メッセにおいて開催されることになりました。また、引き続き23日午後には、市民公開講座を計画しております。

 1978年に第一回神経科学学術集会が開催されてから40回目の節目の大会となります。過去40年間、神経科学大会は神経科学の発展とともに着実に進歩してきました。初期の学術集会は解剖学、生理学、薬理学、生化学、生物物理学などの既存の学問分野において脳神経研究を行っている研究者によるコンパクトな集会でした。その後数十年の間に、神経科学は分子生物学、細胞生物学、数理科学、工学、心理学、さらには神経内科学、精神医学、脳外科学、リハビリテーション医学といった臨床神経科学と連携・融合し、著しい発展を遂げました。これと歩調を揃えて、神経科学大会は参加者数とその専門分野の多様性において着実な発展を遂げ、基礎、応用、臨床の全ての領域の神経科学者にとって、研究成果を発表し情報交換を行う最も重要な場となっています。今や神経科学は生命科学、医学、理工学から人文科学にまで広がる総合科学に発展し、今後も果てしない発展の可能性を秘めています。その活力の源は、こころを生み出す脳のはたらきの仕組みを知りたい、という私たちの根源的な知的欲求であり、複雑化と少子高齢化が進行する現代社会の重要課題である精神神経疾患を克服しなければならない、という使命感であると思います。そのために神経科学者は様々な研究手法を取り入れ、技術革新を行ってきました。ゲノム編集やiPS細胞などの生命科学全般に用いられる新技術の導入は言うまでもなく、光遺伝学による神経活動操作技術、神経活動イメージング技術、非侵襲的脳活動および脳形態計測技術など、脳神経研究に特有の研究手法の開発や技術革新が顕著です。このように、常に技術革新を行い変化し続ける神経科学、関連分野と連携・融合し、未来に向けて発展する神経科学の息吹を感じ取っていただきたいと思い、「進化する神経科学 (Pushing the Frontiers of Neuroscience)」を今大会のテーマとしました。折しも、米国、ヨーロッパ、日本では「神経回路の全容解明」に向けた大型脳研究プロジェクトが進行中であり、また他の国々でも同様の大規模研究の計画・実施が始まっていることから、本大会において、エキサイテイングな研究成果の発表が期待されます。

 このような背景から、本大会では、「神経科学を進化」させている世界トップクラスの神経科学者によるプレナリーレクチャー、特別講演を柱として、シンポジウム、教育講演の充実に努め、参加者が自らの分野の最新研究に触れるとともに、総合科学として発展を続ける神経科学の幅広い情報が得られるようなプログラムを企画しています。また、若手・女性研究者、および近隣アジア諸国をはじめとした海外の研究者の参加を積極的に推進します。本大会が、参加者の情報収集、最新データの発表、および人的交流の場となり、 「神経科学の進化」に貢献することを心から願っております。

  
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